その涙が、やさしい雨に変わるまで
(これでいいなんて、接待がない分ずいぶん楽なバイトかも?)
(でも、ほとんどノーギャラだから、そんなものか)
(まぁいいか。合間に私もバラを楽しもう)
三琴がひとりワゴン車の三列シートの三列目で、隣のシートには人でなくて機材がどっさり載っているのだが、今日の自分の仕事を想像していると、ドライバーが脩也へ告げた。早くに出て正解でしたね、順調に流れているから今のうちに仮眠をどうぞと。
三琴には関係のないことだろうけれど、じゃあ運転お願いねと二列目シートに陣取っている脩也はシートを倒し、あっさりと眠りに入った。
あまりにも早業な脩也の姿に、三琴は目が丸くなる。
そんな三琴の表情がルームミラーに映っていたのだろうか、「いつも脩也さん、こんな感じです。お気になさらずに」と苦笑しながらドライバーが補足説明する。
彼によると、昨日から今日にかけての深夜に、脩也はアメリカ現地のシカゴのスタッフと打ち合わせをしていたそうだ。日本とシカゴとの時差が約十四時間であれば、昼夜はほぼ逆転している。そのミーティングのあと睡眠もそこそこに、早朝のロケ現場への移動である。
こんな時差の大きいミーティングは、帰国しているときの一時的なもの。とはいえ、脩也には太平洋横断による時差ボケも残っていれば、かなりきついと思われた。
(この間まで花粉に悩まされてもいたのに、すごい適応能力)
(瑞樹さんも、見た目と違ってタフだったんだけど……)
(やはり同じ兄弟だ)
三琴の斜め前のシートの上で、脩也はシートの上といえどもほとんど大の字の様相だ。顔にシカゴブルズの黒キャップを乗せて、余計な光を遮っている。規則正しく胸元が上下しているのをみれば、こんなこと、彼にすれば日常茶飯事といわんばかりであった。
「松田さんも今のうちにゆっくりしていて。結構歩くことになるから」
三琴も脩也と同様に、ドライバーのアドバイスに従った。
(でも、ほとんどノーギャラだから、そんなものか)
(まぁいいか。合間に私もバラを楽しもう)
三琴がひとりワゴン車の三列シートの三列目で、隣のシートには人でなくて機材がどっさり載っているのだが、今日の自分の仕事を想像していると、ドライバーが脩也へ告げた。早くに出て正解でしたね、順調に流れているから今のうちに仮眠をどうぞと。
三琴には関係のないことだろうけれど、じゃあ運転お願いねと二列目シートに陣取っている脩也はシートを倒し、あっさりと眠りに入った。
あまりにも早業な脩也の姿に、三琴は目が丸くなる。
そんな三琴の表情がルームミラーに映っていたのだろうか、「いつも脩也さん、こんな感じです。お気になさらずに」と苦笑しながらドライバーが補足説明する。
彼によると、昨日から今日にかけての深夜に、脩也はアメリカ現地のシカゴのスタッフと打ち合わせをしていたそうだ。日本とシカゴとの時差が約十四時間であれば、昼夜はほぼ逆転している。そのミーティングのあと睡眠もそこそこに、早朝のロケ現場への移動である。
こんな時差の大きいミーティングは、帰国しているときの一時的なもの。とはいえ、脩也には太平洋横断による時差ボケも残っていれば、かなりきついと思われた。
(この間まで花粉に悩まされてもいたのに、すごい適応能力)
(瑞樹さんも、見た目と違ってタフだったんだけど……)
(やはり同じ兄弟だ)
三琴の斜め前のシートの上で、脩也はシートの上といえどもほとんど大の字の様相だ。顔にシカゴブルズの黒キャップを乗せて、余計な光を遮っている。規則正しく胸元が上下しているのをみれば、こんなこと、彼にすれば日常茶飯事といわんばかりであった。
「松田さんも今のうちにゆっくりしていて。結構歩くことになるから」
三琴も脩也と同様に、ドライバーのアドバイスに従った。