酸っぱい葡萄を甘くする

2

疲れ果てたからか、久しぶりに夢を見ずに眠っていた。

時折腕と足が痛むものの頓服薬を飲めば、我慢できなくはないレベルにまで落ち着く。

右手は痺れていて、指先はパンパンに膨れている気がする。何度か指先を見てみてもそんなことはなかったけど。

逆に昨日の男の子のほうが夢だったのだと思いたいくらいだった。

パーマがかった茶髪に、シルバーピアス、
無表情だと、ますます鋭く見える三白眼。
本人は、強面を気にしているようだったけど、比較的眉毛の動きや声色から、表情はやや伝わってくる。

時々聞こえる関西のなまりも、ちょっと胡散臭さを増している要因な気もした。

「あーあ」

広すぎる部屋に反響する。


人と関わるとろくなことがない。
関わってなかったから、判断能力もかなり落ちている。

だからあんな怪しい提案も受け入れてしまったに違いない。

目覚めると朝の8時。
ガラスを叩く雨音が静かにキッチンに響く。

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