上司の甘い復讐
いや、私が一番怯えているのは、他でもない麻理子さんだ。
私が翔太さんの彼女だと麻理子さんにバレたら、麻理子さんはどうするだろう。
たいしたことないって言うのかな?
それとも、全力で奪いにかかるのかな?
そんなことを考えながら歩く私は、いつの間にか三人から遅れていた。
それもそのはず、足の長い三人はすたすた歩いて行ってしまうが、小柄の私は早歩きだ。
おまけに、宿泊セットを詰め込んだキャリーバッグまで引いている。
これ以上足を引っ張ってはいけないと、早歩きを小走りに変えた。
だが、キャリーバッグにバランスを取られて転びそうになる。
こんな私にイラついたのだろうか、
「大倉」
翔太さんが私を呼ぶ。
きっと、時間がない早くしろと言われるのだろう。