上司の甘い復讐






私は翔太さんに荷物をぶん取られ(泥棒と罵った)、その荷物はどこかのコインロッカーに放り投げられ(器物破損だと罵った)、ようやくたどり着いた立派な老舗の中にある応接室で、取引き先の社長さんたちと話をした。

翔太さんは慣れているのだろう。

私の父親くらいの年代の社長さんに、丁寧でありながら堂々とした態度で話す。

だから私はただ置き物のように黙って話を聞いて頷くだけだった。


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