上司の甘い復讐



山村君は寝転がりながら、


「大倉さぁーん」


なんて気持ち悪い声で呼んでくる。

私はそれを無視して、懐石料理をいただいた。

これぞ日本といえる繊細な料理は、予想以上に美味しかった。

素材を生かした味と、芸術的な見た目。

落ち着いて翔太さんと二人で食べられればもっと幸せだっただろう。



それなのに、


「大倉さぁーん」


山村君が転がりながら、こっちに迫ってくるではないか。

慌てて立ち上がろうとするが、予想外に素早い山村君に足をタックルされ、無様に畳に倒れ込む私。

思いっきり顔面を打ちつけ、じーんと痛みが広がった。

そしてそれを見て、麻理子さんが面白そうに笑っている。

相変わらず、スカートが際どい辺りまで捲り上がったまま。


「痛ぁ……」


思わず顔を押さえる私の上に、山村君は容赦なくのしかかってくる。


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