上司の甘い復讐





……知っていたんだ。

……わざとだったんだ。

ハゲ崎はどんなつもりで私に付き纏ったのかな。

きっと、私がしようとしたように、私を弄んで楽しんだんだ。

まんまとハゲ崎の罠に引っかかった私は愚かだ。






やっとのことでマンションを出て、転びそうになりながら走る。

途中何度もハゲ崎が追ってきていないか振り返った。

だが、ハゲ崎がいる気配もない。

やっぱりそれだけの女だったんだと愕然とする。

ハゲ崎をぎゃふんと言わせるつもりだったのに、ぎゃふんと言わされたのは私だ。

身から出た鯖なのに。



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