上司の甘い復讐



「ハゲ崎……」


私の震える声は、


「誰がハゲだ」


大好きなその声に掻き消された。

見上げる間もなく、ぎゅっと抱きしめられる。

そしてその大きな胸に顔を押し付ける形となる。




その香りと体温に包まれ、身体を震わせる私。

恥ずかしさと悲しさと嬉しさで、頭が真っ白になる。

ハゲ崎は私を追ってきてくれたんだ……



「ハゲ崎……」


「ハゲてねーよ……」


ハゲ崎は低い甘い声で呟き、さらに私を抱きしめる。


「逃げるなよ、せっかく手に入れたんだから」


< 88 / 349 >

この作品をシェア

pagetop