甘さはひかえめで。


席にも座れなくて、ぎゅっとリュックの紐を握って、その場から動けずにいたら

ガタ、と椅子をひく音がして。


「あのさぁ」


不機嫌そうな燿の声がしたかと思ったら、燿が私に近づいてきた。


「どこが足手まとい?
乃々は頑張ってくれてたけど?」

「だって、ボール顔にぶつけてたし!
下手くそだったじゃん」


一人の女子の言葉で、クスクスという笑いが広がっていく。

私……そんなにバカにされてたんだ…。


「上手くもないくせに、よく八神くんと一緒のチームになろうと思ったよね」

「図々しいにも程があるよ」


「私は…!」


燿に誘われたから同じチームになったのに…

そんなこと言われるなら、一緒のチームになんかならなきゃ……


「うるせーなぁ」

「え?」

「群がって言いたい放題、うるせーって言ってんの」


燿の声が、さらに低くなる。



< 85 / 139 >

この作品をシェア

pagetop