甘さはひかえめで。
席にも座れなくて、ぎゅっとリュックの紐を握って、その場から動けずにいたら
ガタ、と椅子をひく音がして。
「あのさぁ」
不機嫌そうな燿の声がしたかと思ったら、燿が私に近づいてきた。
「どこが足手まとい?
乃々は頑張ってくれてたけど?」
「だって、ボール顔にぶつけてたし!
下手くそだったじゃん」
一人の女子の言葉で、クスクスという笑いが広がっていく。
私……そんなにバカにされてたんだ…。
「上手くもないくせに、よく八神くんと一緒のチームになろうと思ったよね」
「図々しいにも程があるよ」
「私は…!」
燿に誘われたから同じチームになったのに…
そんなこと言われるなら、一緒のチームになんかならなきゃ……
「うるせーなぁ」
「え?」
「群がって言いたい放題、うるせーって言ってんの」
燿の声が、さらに低くなる。