甘さはひかえめで。


「あのさぁ、努力してねぇ人間が、努力してる人間バカにすんなよ」

「……っ!あたしたちだって頑張ったよ!?」

「あっそ。けど俺はおまえの努力なんて知らねーし。
乃々が努力してたとこは、一番近くで見てたけど」


燿がそう言ったら、聞いてた日下くんが「そうだそうだ!」って同意してくれて、

他のチームメイトの男の子たちも、うんうんと頷いてた。


「結月さんがチームの士気をあげてくれたんだよ」

「実際、結月さんがいなかった試合は負けてるし」

「結月さんのおかげだろ、どう考えても」


チームのみんながそう言ってくれて、涙が出そうになって。

堪えるように、ぎゅうっとまた強く、リュックの紐を握った。


「けどそんなの、男に媚びうるためでしょ?
じゃなきゃ女子一人で男子ばっかのチーム入らないでしょ!」

「それは俺が勝手に誘ったからだし、
人数合わせるために女子チームとは話し合い済みだけど?」


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