私、修道女になりたいのですが。。。 ー 悪役令嬢のささやかな野望?
 私がさらに質問すると、グレースが制した。
「マリア様、ベッドにお戻りください。この件はアレックス様にご相談します」
 彼女はそう言うが、多忙なアレックス様の手を煩わせたくない。
「なぜシャーロットは毒を飲んだの?」
 グレースに構わずシャーロットの侍女に目を向けた瞬間、みぞおちを強く殴られた。
「うっ!」
 激痛で息が吸えなくなり、視界が霞んできて……。
「マリア様!」とグレースの声がしたけれど、そのまま意識を失った。

「うっ……痛い」
 顔を顰めながら目を開けると、どこかの小屋の中にいた。
 馬小屋だろうか。
 縄で両手、両足は縛られ、私は床に寝かされていた。
 一体なにがどうなったの?
 確かシャーロットの侍女がグレースと揉めていて、それで理由を聞いたら、突然みぞおちを殴られた。
 小屋の周囲を見回していると、扉が開いてシャーロットが入ってきた。その背後には残忍そうな顔をした男が三人いる。
「あら、目が覚めたの? ごきげんよう、お義姉様。寝心地はいかがだったかしら?」
 シャーロットは笑顔だったけど、その目がとても怖かった。
「シャーロット? 毒を飲んだって……」
 喉の奥から声を絞り出して問うと、彼女はあっけらかんとした様子で返した。
「あれはお義姉様を誘い出すための嘘よ。だって、ずっとアレックス様と一緒にいるんだもの。お義姉様に手を出せないでしょう?」
 シャーロットの言葉を聞いて、ゴクッと唾を呑み込む。
「な、なにをする気なの?」
「お義姉様に消えてもらうのよ。だって邪魔なんだもの。アレックス様には私の方が相応しいわ」
 フフッと扇を口に当てながら笑う彼女が不気味で、身体が震えた。
「だからってこんなこと」
「私、お義姉様のこと大嫌いだったの。この男たちに犯された後、楽にしてあげるわ。さあ、生きてるのが辛くなるくらいめちゃくちゃにしてあげて」
 シャーロットは背後を振り返り、男たちに金貨を渡して命じる。
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