私、修道女になりたいのですが。。。 ー 悪役令嬢のささやかな野望？

絶体絶命――。
　逃げたくても両手両足を縛られていては身動きが取れない。
　男たちに犯されて、その挙げ句に殺されるなんて……そんなの嫌！
　這いつくばって逃げようとするが、男たちに身体を押さえられた。もう恐怖しかない。
　男たちはニヤニヤしながら私の服に手をかける。その様子を見て、シャーロットは「いい気味よ」とほくそ笑んでいた。
「アレックス様〜！」
　この場にいないのに、怖くてその名を叫ぶ。
　すると、指にはめていた指輪がピカーッと光った。
「何事だ！」と男たちが騒いだその瞬間、馬の蹄の音がして、小屋の扉が大きく開いた。
　現れたのはアレックス様にルーカス様、皇太子所属の騎士たち、それにキースもいる。
「なぜここが……？」
　呆然とした様子で呟くシャーロットに、アレックス様が冷ややかに言う。
「キースが教えてくれた。シャーロット、言い逃れはできないぞ。ルーカス、彼女を捕らえろ」
　アレックス様はルーカス様にそう命じると、私のところに来て手足の縄を外してくれた。
「怪我はないか？」
　彼に起こされながら「はい」と返事をする。キースも私の元に来てにっこり微笑んだ。
「マリア様、なんとか間に合ってよかった」
「ありがとう、キース」
　涙ぐみながら彼に礼を言ったその時、シャーロットが「私は公爵令嬢なのよ！」と激しく抵抗した。だが、すぐにルーカス様たちに「往生際が悪い」と取り押さえられる。
　この夜、私が知らぬ間にいろいろなことが起こっていたらしい。
　私がシャーロットの侍女と話していた時、アレックス様は私を毒殺しようとしたシャーロットを捕らえるため公爵邸に行ったそうなのだが、彼女はいなかった。
　その時、彼女の計画を知ったキースと会い、彼の案内で私を助けに来たのだとか。
　城に戻ると、グレースに抱きつかれた。
「マリア様、ご無事でよかった」
　グレースもシャーロットの侍女にみぞおちを殴られて、しばらく気を失っていたらしい。
　グレースにお風呂に入れてもらうと、そのままアレックス様の寝室へ連れていかれた。
　中に入ると、アレックス様とルーカス様がいてなにやら話をしている。
　多分シャーロットのことだろう。彼女は今、城の地下牢に入れられている。