別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
「父さん」

 和輝は息子として父に切り出した。

「うん?」

「未来と結婚したいと思ってます」

 貴久は目を剥くと同時にゲホゴホとコーヒーにむせた。

「……は? どういうことだ?」

「未来を妻にしたいということです。これから彼女に了承を貰う予定ですが、賛成してくれますよね」

 言いながら和輝はハンカチを差し出そうとしたが、貴久は慌てた様子で自分のスーツのポケットからハンカチを出し、口元を押える。

「ちょっと待て、和輝、いつのまにそういうことになってたんだ。ていうかお前未来ちゃんのこと」

「女性として、大事に思っています」

 和輝の答えに一瞬呆けた顔になった貴久だが、すぐに表情を引き締めて硬い声を出した。

「未来ちゃんはかわいいんだ」

「未来がかわいいことなんて、生まれた時から知ってます」

 脈略を得ない貴久の言葉に和輝は当然だと応えた。

「いいか和輝。あの子はかわいいし、優しい。彼女のお母さんが亡くなった後、猪瀬で暮らすことになった時、無邪気にふるまってくれていたのは、そうしないと僕らが心配すると思ったからだ。でも彼女は僕らに必要以上に恩を感じているし、気を遣っている」

「そういうことですか」
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