さよならの夜に初めてを捧げたら御曹司の深愛に囚われました
「そうか。それは心配だね。ああ、わかった。園田さんのことは僕が明日気を付けておくよ。え? 副社長はご一緒しているけど? ああ……わかった、お伝えするよ。倉橋さんは気にしないでいいから結城部長とごゆっくり。はは、じゃあお疲れ」

(園田? 未来に何かあったのか?)

 漏れ聞こえてきた会話の”園田”という言葉に和輝はすぐさま反応した。

 佐野は桜衣や未来の上司になるので、何かあった時に彼に連絡が入るのはおかしくない。

「佐野さん、どうかしましたか?」
 
 電話を切った佐野に速足で近づき尋ねる。

「ああ副社長、中座してすみません。ウチの園田さんが体調悪そうだったから、気を付けてあげてくれてと彼女の先輩の倉橋さんから連絡がありまして。倉橋さんは明日休暇なので心配なんでしょうね。あと、そのことを副社長にも伝えてほしいと言ってました」

 佐野はなぜでしょうね?と首をかしげる。

「――わかりました。ありがとう」

 和輝がそれだけ応えると佐野は深く詮索せず、会食の場に戻っていった。

 未来が姉のように慕っている桜衣は和輝と未来が幼なじみであることを知っている。
 佐野を通じて和輝に伝えようとした可能性はある。

 ともかく未来が心配だ。改めて連絡しようとスマートフォンを開くと既に未来からのメッセージが入っていた。
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