さよならの夜に初めてを捧げたら御曹司の深愛に囚われました
 由緒正しいその神社は和輝の両親も式を挙げ、和輝の七五三も行ったという縁のある場所だと聞き、未来もここで挙げたいと希望した。

 都会の中にありながら、一歩足を踏み入れると凛とした静けさを感じる境内の雰囲気に惹かれたのもある。

 未来の希望を猪瀬家の人たち、もちろん和輝も快く受け入れてくれた。

 家族やごく親しい人に見守られながら交わす三々九度は感動的なものがあった。

 そこには父と共にパートナーの女性の姿もあった。

 新しいマンションで父と暮らし始めた彼女と未来はすでに何度か会っている。ユーモアがあるが決して出しゃばらない優しい女性ですぐに打ち解けることができた。
 娘の結婚を見届けた後、父は正式に再婚するつもりでいるらしい。彼女は式の参列は遠慮していたが嫌でなければとお願いした。

「まあ、和装は着なれないし疲れるわよね。後はリラックして楽しんでおいで。しかしガーデンパーティって、ほんとに自宅のガーデンでパーティできる家があるなんてねぇ」

 雪成は感心したように言う。

 この後は屋敷の庭で友人や会社の同僚などを呼んでお披露目のパーティが開かれることになっている。
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