さよならの夜に初めてを捧げたら御曹司の深愛に囚われました
エピローグ

「よし、こんな感じでいいかしらね、最後にちょっとおさえるからじっとしてて」

「うん」

 ドレッサーの前で未来の横に立つ雪成がルースパウダーを取り出す。
 今日の彼は爽やかなブルーのパンツスーツにパールベージュのパンプスを合わせている。
 ドレスアップしつつも動きやすい格好だ。

 猪瀬の屋敷の客間。今日は花嫁の控室となったこの部屋で未来は雪成によってヘアメイクをしてもらっていた。

 未来が身に着けているのはソフトチュール生地を使ったエンパイアラインのふんわりとしたオフホワイトのウェディングドレスで、スカートの広がりは控えめで丈もぎりぎり床に着くぐらいのものだ。
 髪型はゆるいアップでメイクも先ほどまでの白無垢姿とはガラッと変わりナチュラルに仕上がった。

「さっきの白無垢姿も最高に綺麗だっだわ~。神社の挙式の良さを再認識しちゃった」

「緊張したけど、背筋が伸びたよ」

 10月中旬、大安の日曜日の今日。
 穏やかな天気に恵まれる中猪瀬家からほど近い神社で和輝と未来は結婚式を挙げ、屋敷に戻ってきたところだった。
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