別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 休日は着古したファストファッションのスウェットワンピースでアパートの近くの安売りスーパーへ出掛けるような人間なのだ。
 
 それに、童顔で年齢より幼く見えがちの自分に高級寿司店へ引き取られる価値があるとは思えない。

「うーん、やっぱり早い気がするし、なんか現実味がないなぁ。第一、私に落ち着いた大人の女性の魅力とか色気とか皆無な気がする。胸も無いし」

 未来は自らの控えめなボリュームの胸元に視線を落とす。

「別に世の男は嫁に色気や胸を求めてるとは思わないけど」

「まあ、そうよねぇ」と言って雪成は未来の服装を一瞥した。

「未来の選ぶ服って似合って無くはないんだけど、どうもつまらないのよね。メイクもあんまりしないじゃない」

「でも、こういう感じが落ち着くんだよね」

 普段から未来が好むのは膝が出ない程度の身体の線を拾わないフレアタイプのスカート、白いブラウスに淡い色のカーディガンというようなおとなしめの『無難』な服装。メイクも同じく、冒険をしたことはない。

「未来はもう少し大人の女の色気を出してもいいと思うのよね」
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