別れを決めたので、最後に愛をください~60日間のかりそめ婚で御曹司の独占欲が溢れ出す~
 気を使ってくれる先輩にわざとおどける未来に桜衣はずいっと近づいて声を低くする。

「……ねぇ、それよりって言ったらあれだけど、最近未来ちゃん雰囲気変わったわよね」

「えへへ、わかります? 気づいて貰えて嬉しいな」

 今日の服装はモスピンクのブラウスに黒いレースのインナー、程よく体に沿うラインの黒いナロースカートはフロントのスリットが程よい露出をしつつ下品にならない絶妙な位置まで入っている。

 メイクも今までしなかったブラウンのマスカラをしたり、チークの色を変えてみたりしている。耳もとで揺れるタイプのピンクゴールドのイヤリングも新調したものだ。

「今までも可愛かったけどそういう大人っぽいのも似合うわ……っていうか結構みんな気付いていると思うわよ」 
 「特に男性陣」といいながら桜衣はなぜかミーティングルームの方に視線をやる。

「そうですかね? 実は美容師やってる友達にもうちょっと年相応の格好しろと言われまして」

「あら、美容師に友達がいるなんていいわね」

「もし良かったら今度紹介しますよ。彼アメリカ帰りで腕は一流ですから」
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