雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「創介君、立派になっちゃってー。もう、大人の男って感じね」
「華織さん、ご無沙汰しています。今日は、ありがとうございます」
ウエーブのかかったロングの髪が綺麗な女性だった。
「――俺の婚約者の雪野です。彼女に、似合う服を選んでほしくて」
そう紹介されて、緊張のままに頭を下げた。
「戸川雪野です。よろしくお願いします」
「とっても可愛らしい人ね。木村華織です」
にっこりと微笑むと親しみやすさまで加わって、とても素敵な人だった。
「木村のお姉さんなんだ。この店を経営してる。華織さんならきっとおまえの力になってくれると思ってここに連れて来た」
そう言って、創介さんが私に教えてくれた。
「よろしくね」
私に優しく微笑みかけてくれるから、肩に入った力が少し和らぐ。
「早速だけど、挨拶はご自宅に行くのよね? 確か、創介君のお父様って――」
華織さんが創介さんにいろいろと確認してくれる。それを元にどういったものがいいのか選んでくれるのかもしれない。
その様子を見ていると、肩をトントンと叩かれているのに気付いた。
振り向くと、それは木村さんだった。話し込んでいる創介さんをちらりと見てから、声を潜めて私に言った。
「――あの時は、余計なことを言って悪かったね」
「いえ。いいんです」
あの日、木村さんに言われたことは、決して私を陥れようとしたものではなかった。
「これだけは言っておくよ。あの頃から、創介は君にだけは他の女と違ったのは間違いないから」
私が何も言わずに木村さんを見上げると、にこっと笑った。
「あいつを変えたのは君だ。創介という人間を知っているだけに、その凄さに驚いてる。創介も人の子だったんだなぁ」
木村さんにつられて笑ってしまう。
「――二人して、何やってる」
話が終わったのか、いつの間にか創介さんが立っていた。
「いやいや、雪野ちゃんってこんなにキレイな子だったかなってさ。数年見ない間に女って変わるんだねぇ」
「変な目で雪野を見るな」
私の一歩前に出て、創介さんが私を背中に隠す。
「まったく。独占欲丸出しだな。みっともないぞー。雪野ちゃん、結婚したら気を付けてね。縛られまくるかもよ?」
「それでも、構わないです……」
創介さんになら、どれだけ縛られてもいいかも――なんて思ってしまう私は重症かもしれない。
「……それはそれは、ごちそうさま。こっちが恥ずかしくなる」
木村さんは呆れたように溜息を吐いたけれど、結局最後は笑ってくれた。