雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「創介さんと結婚してから、周囲の人から向けられる視線が怖くて逃げ出したくなった。いろんな人の声を真正面から受け止めるのは怖い。それでも逃げたくないって思えたのは、創介さんのおかげなんです」
自分の感情から逃げずに、ありのままを認める。そんな雪野を俺はただ見つめていた。
「私は創介さんの傍にいていいんだって、私は一人じゃないって創介さんが改めて教えてくれたから。もっと強くなれるはずだって思った。創介さんがいる世界の人たちと向き合いたい。向き合えるだけの強さを持ちたい」
雪野の眼差しに、その強い思いが込められている。
「――できる、よね?」
真っ直ぐに生きるということは、傷だらけにもなる生き方で。それでも雪野という人間は、真っ直ぐに生きようとする。
誰かのためなら、たとえ傷だらけになるとしてもその傷さえ躊躇うことなく受け止める。
「ああ。雪野は自分で思うよりずっと強い女だ。雪野が誰に対しても優しくあれるのは、強いからだよ。どんな人にも、必ず雪野の思いは伝わるさ」
雪野と出会った時の俺が、そうであったように――。
俺が言葉で説明してやらなくても、叔母だって誰だって、雪野の人柄を身をもって知る時がくる。俺にはその確信がある。
「俺はずっと、雪野の強さに守られて来たんだからな」
その強さに憧れさえ抱いていたかもしれない。
「私もです。私も創介さんに守られてる」
苦しみも辛さも苦悩も、何もかもを受け止めて笑う雪野の表情は誰よりも綺麗だ。
「だからね、傷付くことが少しだけ怖くなくなったんです。傷付いても、創介さんが傍にいてくれるから。それって、凄いことですよね?」
どうして、俺みたいな人間に雪野を与えてくれたのかな――。
そんなことをふと思ってしまった。