雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「確かに、神原さんと話した時は落ち込みました。何より叔母様とのことは、辛い出来事だった。他人じゃなくて創介さんの家族だったから。『別れてほしい』って言われて、目の前が真っ白になった」
一つ一つ自分の胸のうちを確かめるような雪野の言葉。それを聞いているだけで、雪野に経験させてしまったいくつもの苦痛に改めて胸が痛む。
「でもね。神原さんにしても、叔母様のことにしても、辛い気持ちにはなったけど怒りはなかった。だって、二人が私に対してああいうことを言いたくなる気持ちが理解できたから」
その言葉に驚く。
「私が創介さんを想うように、神原さんも叔母様も、みんな創介さんを思ってのことだって。創介さんのことを親身に考えているから、言わずにはいられなかったんだろうな、と」
「雪野……」
「私をただ傷付けようとか、そういう気持ちからじゃない。だから、余計に辛かったんだけど……」
そう言うと、雪野が歪んだ笑みを浮かべた。
「この一週間、私なりにたくさん考えた。周囲の人たちから言われたこと、創介さんが私に言ってくれたこと。自分はどうするべきか、どうしたいか」
何もかもをふっきるように、改めて俺を見る。
「それは、逃げないことだと思った。どんなに厳しいものでも、いろんな人の声や思いを私は逃げずに受け止めるべきだなって。受け止めることで私が変わっていけば、叔母様も安心できるんじゃないかな? 今は、私のせいで不安に思わせている。それはきっと神原さんも他の人も同じ」
「雪野のせいなんかじゃないよ。おまえは何も悪くない――」
俺の言葉を雪野はすぐに遮った。
「私が何も持っていないのは事実だよ。叔母様の言うことも神原さんの言っていることも間違ってない。私は自分の置かれている現実から逃げちゃいけないんだって思った。私が変わらないと、きっと周囲の人の見方も変わらない」
雪野はいつも人を責めない。必ず相手の立場に立って、その心を汲もうとする。