雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
というわけで、とうとう榊常務へのインタビューの日が来た。
「――すみません。今日は、こんな感じでインタビューさせていただきます」
事前にある程度の説明はしておいたが、改めて秘書の神原さんにこの日のスケジュールを説明する。
それにしても、本社から来たというこの秘書。やっぱり雰囲気が全然違う。ひじょーに、きっちりしっかり(ぴりぴり)している。
うちの役員と秘書の、叔父と姪みたいな、なぁなぁな感じゃない。
「――承知いたしました。やはり質問事項は……」
「すみません。広報室の方針で、質問は事前にお知らせしないことになっているんです。自然な反応を知りたいというかなんというか……」
本当に、何から何までふざけていると思うよ、俺も。
「そうですか。でも、くれぐれも失礼な質問はなさらないようお願い致します」
「は、はぁ……」
まあ、”失礼”ではないだろうが。どれもこれも、答えるのに苦労はするだろうな。
「では、常務室にご案内いたします」
「はい!」
俺の後ろに控えていた三井が、張り切った声をあげる。
「では、本日はよろしくお願い致します」
その後ろにいる、室長と係長も気持ち悪いほどの微笑みを湛えていた。