雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
「ええと……これは、先ほどの質問と関わりますが、奥様は好きなタイプの女性でしたか……もう、聞くまでもないですよね、アハハ」
三井が暴走するのに気を取られて、聞く順番を間違えたじゃないか――!
「好みとか、そういうものはあまりなかったから。初めて会った時に気になったということはそういうことだな」
常務が、いよいよハンカチで額を拭き始めている。
常務、すみませんっ! まだ、こんな感じの質問は終わらないんです――。
あまりに気の毒過ぎて、もう心の中でただひたすらに謝る。
少し答えるのが楽な質問を挟もう。
「次ですが、奥様と二人でされている趣味のようなものはありますか? もしなければ、これから始めたいものなどありますか?」
「……言われてみればそういうものはないな。確かに、二人で同じ趣味を持てばこれから楽しいかもしれない。ゆっくり妻と探してみようと思います」
少し常務の表情が緩む。
「ありがとうございます。次に行かせていただきます。もし、一週間休暇が取れることになったら、奥様と行ってみたいところなどありますか?」
「実は、まだ新婚旅行もしていない――」
「え? まだ、ですか?」
静かにしていたと思っていたら、三井が声を上げた。
「仕事の都合がつかなくて」
「旅行には何度も行けても、新婚旅行は人生に一度。絶対に行ってください! 私は絶対に行きたい!」
おまえは、一体、誰だ。誰もおまえの要望なんて聞いていない――!
「……ああ、そうだな。(最近、いろいろあったし)妻とゆっくりできる場所を、彼女の希望も聞いて考えたい」
これ以上三井に発言の余地を与えるとまた長くなる。さっさと次の質問に行く――そう思って資料を見ると、再び怪しい雰囲気が漂っていてまたもこの口は閉じる。でも、聞かないわけにもいかないのだ。