雪降る夜はあなたに会いたい 【下】
テーブルの中央に、榊常務と奥様が並んで座る。
こうして、お二人が並んでいるのを目にすると、一見タイプが全然違うお二人だけど、とてもお似合いでしっくり来る。
自然にお二人視線を合わせては、微かに微笑む――。
なんだ、この熱い感じは!!
もう、心の中は大騒ぎである。
「えー、では、常務が到着されましたので、始めさせていただきたいと思います。まず、吉岡さん、よろしくお願いします」
古舘さんが予定通り始めると、吉岡さんが通る声で話し出した。
「本日は、このような内輪の飲み会とも言えるような集まりに、快くご参加くださり、感謝致します。そして、奥様も――」
吉岡さんの話は半分以上聞き流し、私はここぞとばかりにお二人を遠い席から観察していた。少し離れているからこそ、こうしてまじまじと見られる。その点、榊常務の真正面に座る読者さんは、そうも行かないようだ。
奥様は、常務のような超セレブの妻とは思えないほどに控えめな雰囲気の方だ。こう言っては失礼かも知れないけれど、本当に普通。それでいて、とても感じがいい。滲み出る雰囲気は、きっと嘘をつけない。チャコールグレーのワンピース姿はその清楚さを鮮明にする。そして、一つに結んだ髪型が親しみやすい。
同じ年なんだよなー。
榊常務は、この方を溺愛しているんだよなぁ。
羨ましい……。ああ、うらやましー。
「――というわけで、かんぱーい!」
いつの間にか吉岡さんの演説は終わっていた。
ここからが、今日の本番である。
飲んで飲ませて、いつもなら絶対聞けないことを聞き出してやるんだから。
え? なんですって? インタビューの時に既に相当暴走していたって?
ノーノー。私、あれでもきちんと抑えていたんです。
でも、この時間は勤務時間外。もっと深く、突っ込んで行きましょうよ。
それに、今回は奥様にもいろいろ聞きたいよね?
奥様にも愛を語ってもらって、それを聞いて照れる常務を見る――。
考えただけで、ワクワクする!
ね? 読者さん!
広岡君の隣に座る読者さんに、そんな気持ちを込めて目配せをした。