主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「いてぇよ…!!?
それにお前今、それの角で殴っただろ!?」

「あ?
紅葉に気安く話しかけるてめぇが悪いんだよ!!?」
理亜は、意識しないとすぐに口調が乱暴になり悪くなる。
しかも、相手は神だ。
余計に口調が悪くなり、雰囲気まで悪くなっていた。


そもそも━━━そんな理亜と紅葉が、何故こんなに仲が良いのかと言うと………

雲英が関係している。

理亜は女性にしては喧嘩がかなり強く、男性相手でも簡単に負けたことがない。

そんな中━━━神には敵わなくて、それがきっかけで付き合ったと言っても過言ではない。

神が好きだったと言うより、尊敬していたという方が正しい。
しかし付き合ってみて、神がかなり女癖が悪く、浮気ばかり繰り返すクズだとわかったから、別れたのだ。

そしてそれは、雲英に関してもだ。

理亜と神。
今まで、負けたことがなかった二人。

そんな二人が、二人の力をもってしても敵わなかったのが……雲英だ。

高校の文化祭で、理亜と神のチームの仲間達が来ていた時。

理亜や神が敵対しているチームも文化祭来ていて、荒らされ抗争のようになった。

理亜と神でも、手に追えないくらい荒れた文化祭。

それをたった一人で止めたのが、他でもなく“雲英”だった。

“紅葉様の前で、これ以上汚いものを見せるな”

そう言って簡単に一掃し、収めたのだ。


それから理亜と神は、雲英に頭が上がらない。
更に理亜は紅葉とよく話すようになり、気が合った二人は親友になったのだ。



「━━━━━別に、話すくらいいいじゃねぇか!」

「は?私は会社内で、紅葉のSPみたいなもんなの!!
羊さんに託されてんだから!」

「……うっせぇなぁ!?
つか!
てめぇがそんなことしなくても、ちゃんと牽制されてんじゃん!!」

「は?」

「紅葉、愛されてんなぁー(笑)」

「え?え?」

「それ、キスマークだろ?」
紅葉の左肩にある、キスマークを指差す神。
襟から、微妙に見えていた。

「え!!?」
紅葉は慌てて手鏡を取り出し、確認する。
(う、嘘……
もう!マークつけてないって言ってたのに!)


「あ…気づいてなかったんだ……」
青ざめた紅葉を見て、苦笑いをする神。

「神、ほんとあんた、邪魔!
早く戻りなさいよ!」
理亜に呆れたように言われ、神はへいへい…と言いながら去っていった。
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