主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「━━━━甲斐様、いらっしゃいませ!
ご用意、出来てますよ!」

「あぁ」

頼んでいた店に向かった雲英。
ここは、空神が懇意にしている店だ。
店長に、羽織物を見せられる。

「こちらの3点にしぼってます!」

「………」
真剣に選ぶ、雲英。
広げたり、触った感じを確かめたりする。

「………これだな…」
呟いて、店長に渡す。
雲英に渡されたストールを見て、店長は微笑んだ。

「ん?」

「思った通りだなと思いまして……!」

「え?」

「私も、きっと紅葉様はこちらがお好きだろうなと思いましたので!
まさに、甲斐様が選ばれたから……!」

「フフ…そうか…!」
雲英と微笑み、購入して店を出た。

腕時計を見て、時間を確認する。
紅葉を迎えに行くには、まだ早い。

(とりあえず、荷物を持ち帰ってまた出るか……
それなら、丁度━━━━━)

「雲英!」

落ち着いた、綺麗な声。
しかし雲英は、この声を聞くと嫌なことを思い出す。

「澪雨」

「久しぶり~!」

「待ち伏せみたいなことするな」

「ごめん~」

「で、何?」

「中、入ってったのが見えたから」

「何もないなら、失礼する」

「相変わらず、冷たっ!(笑)」

「は?」

「また、遊ぼうよ!」

「は?
遊びたいなら、亞嵐を誘えよ。
俺はもう━━━━━」

「姫様を手に入れから、お前は必要ないとか?」

「………」

「図星でしょー?(笑)」

「そうだ」

「ほんっと、最低な男よね?
よくそんなので、あの純粋無垢な姫様を手に入れられたわよ!」

「最低?どこが?
俺は話したはずだ!
俺は一生涯、紅葉様しか愛せないと。
それをセフレで構わないと言ったのは、お前の方だろ?
しかも、亞嵐や他の奴等ともセフレだったんだろ?
亞嵐が言ってた。
澪雨は、色んな奴等と遊びまくってるって」

「………」

「確かに俺も、お前をことをとやかくは言えない。
最低な行為をしていたのは、事実だから。
でも、お前には言われたくない。
だから、言っておく。
俺を最低呼ばわり出来るのは、この世で紅葉様だけだ………!」

雲英は、そう言い捨てるように言って去っていった。
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