主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「━━━━凄っ!?今日も、美味しそう~!」
「紅葉さん、いいなぁ!」

「羊さん、何でもできるもんね(笑)」
「えぇ!
甲斐が困ってるとこ、あんまり見たことないよ!(笑)」

「へぇー!旨そうじゃん!
玉子焼、ちょうだーい!」

昼食中。
弁当を広げる紅葉の後ろから顔を出してきた、神。
入っていた玉子焼を取り、パクッと食べた。

「あーー!神!!何やってんの!?」

「んー、旨っ!
別にいいだろ?
つか、なんで理亜が怒んの?」

「は?」

「ちょっ…理亜!」

「あ、ごめん…
…………それよりも、今日はどんなメッセージ?」

「え?
あ…うん」
紅葉への弁当。
必ず、雲英手書きのメッセージカードが入っているのだ。

内容は
“紅葉様、午前のお仕事お疲れ様でした!また午後も、頑張ってください”や
“今日は金曜日。帰ったら、沢山イチャイチャしましょうね!”など……色々だ。


【お仕事お疲れ様です!
昨日少し疲れさせてしまったせいで、お疲れではないですか?
あまり無理をされないでくださいね!】

「ふーん(笑)
“疲れさせて”って、何したの?(笑)」
理亜が頬杖をついて、微笑んでいる。

「え?/////」

「フフ…わかりやすっ!(笑)」
あからさまに顔が赤くなる紅葉の、頬を突っつく。

「まぁ、そのマークがそれを示してるよな(笑)」
神も話に入ってきて、肩を指差しながら微笑む。

「……/////」
二人に顔を覗き込まれ、余計に紅葉は顔を赤くする。

「「可愛い~!」」
高校生の頃は、よくこんな風に二人にからかわれていた。


「でもまぁ、雲英さんと紅葉が結婚なんてなぁー(笑)」
「まぁ、そうね」

「そんなに、変?」

「変ではねぇけど…」
「不思議ではあるかな」

「私にとっては、それが自然だった」

「「え?」」

「物心ついた時には甲斐がいて、ずっと傍で守ってくれてた。
それが当たり前になって、私は誰にでも甲斐みたいにお世話してくれる人が当たり前についてると思ってたくらい。
違うんだってわかった時、甲斐に言ったの。
“私だけ違う。甲斐はもういらない”って。
小学生の時だったかな?
みんなと違うことが、嫌で。
その時の甲斐、今でもはっきり覚えてるくらいに悲しそうだった。
それからすぐかな?
甲斐が女性と一緒にホテルに入るところを見かけた。
……………甲斐が、一気に遠くに行った気がした。
その日、涙が止まらなくて…
やっぱり、傍にいてほしいって思ったの」

「紅葉、そんな頃から思ってたんだ……!」

「なんか、純愛だな(笑)」
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