主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「━━━ってことは、紅葉さんにはないんだろうなぁー」
話を聞いていた女性社員が、問いかけてくる。

「え?」

「酔って、起きたらホテルだった!みたいなこと」

「え…えぇ…」
(ど、どうゆうこと?)

「私なんか紅葉さんくらいの時、セフレいたわよ(笑)」

(え?え?よくわからない言葉が出てきた…)

「若かったわ(笑)」
社員達が笑いながら、話を弾ませている。

「………ねぇ、理亜」
「んー?」

「セフレって何?」
理亜に耳打ちする。

「あー、うーん…
紅葉には縁のないことだし、知らなくていいわよ(笑)」

「え?」

「セックスフレンド!」
言いよどむ理亜に代わり、神が答えた。

「え……!?」

「要は!ヤるだけの相手だな!」

「え?え?」
(そんなお友達って存在するの!?
え?え?セックスだよ!?)

「ちょっと!神!!あんた、また余計なことを!?」
「いいじゃん!
お姫様だって、世間ってものを知らねぇとな!」

「は?紅葉はいいのよ!
羊さんがいんだから!」

「そりゃそうだが!
…………つか!雲英さんだって、言えないことしてたかもだぞ?
それこそ、セフレがいたかも?」

「は?」

「あの人、只者じゃねぇもん!
理亜だって、そう思うだろ?」

「ま、まぁ…ね」

紅葉は、二人の話を聞きながら自身のピアスに触れた。

(まさか…ね……)



その日の仕事が終わり、社員達が退社し始めた。
「シキガミくん、飲み行かない?」

「あ、はい!もちろん!」
女性社員が、神を誘っている。

「紅葉さんと、山神さんもどう?」

「私はいいですけど……
紅葉は?」

「ごめんなさい。
今日は、パーティーがあるんです」

「そっか!
じゃあ、またね!」

「はい、お疲れ様でした!」

理亜達が手を振る中、紅葉を手を振りゆっくり会社を出た。


会社前に、雲英の車が止まっている。
運転席から、雲英が颯爽と出てきた。

そして駆け寄り、微笑んだ。

「紅葉様、お帰りなさいませ!
お仕事お疲れ様でした!」
さりげなくバッグを取り、紅葉の手を握る。

「………」

“雲英さんだって、言えないことしてたかもだぞ?
それこそ、セフレがいたかも?”

「紅葉様?」


(そんなわけ、ないよね……?)
紅葉は、雲英の胸にコツンと額をくっつけた。
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