主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
しかし………

「雲英!亞嵐!」

「「は?」」

会場の入口に、澪雨が立っていた。

「なんで?」
「澪雨、なんでいんの?」
雲英と亞嵐が、不思議そうに澪雨を見る。

「説明は後!
先に、社長様に挨拶しないと!」


一度、紅葉の父親の所へ向かう。
「今日はお招きいただき、ありがとうございます!」

「あぁ、阿蛭(あびる)くんか!
今回は助かったよ!」

「いえ!お役にたてて光栄ですわ!」

「まぁ、楽しんでくれ!」


それから、雲英と亞嵐の元に戻ってくる。
同じタイミングで、紅葉がトイレから戻ってきた。

「甲斐(雲英、亞嵐)お待たせ!!」
綺麗に紅葉と澪雨の声がハモった。

「「え?」」
紅葉と澪雨が、顔を見合わせる。

(この方、誰?
何処かで見たことが…………あっ!)

「初めまして!
私、阿蛭 澪雨と申します!
雲英と亞嵐の━━━━━」


「甲斐の元彼女さんですよね?」


「「「え……!?」」」
今度は雲英と亞嵐、澪雨の声がハモった。

「紅葉様、どうして……」
雲英が震える声で言い、紅葉を見る。

「え?だって、一緒にいる所を何度かお見かけしたことがあるから」

「だからって、付き合ってるかどうかなんて……」
亞嵐も、少し声が震えていた。

「だって………ほ、ホテル…////入ってったから……」

「あ……」

「そうゆうことでしょ?」
雲英と亞嵐を見上げた。
そして、続けて言った。

「あの頃……私はまだ小学生だったし、よく意味がわかってなかったの。
でも、今思い出すと“そうゆうこと”なのかなって。
あ!でも!
更井さんとも、ホテルに入ってくの見たことあるの。
だから、お付き合いしてた期間?は長くはなかったのかな?」

雲英と亞嵐は、心の底から驚愕していた。

まさか!紅葉が、知っていたなんて………!

あの頃、付き合っていたわけではない。
澪雨とは、セフレのようなものだった。
しかし、本当のことを紅葉に知られたくはない。

雲英と亞嵐が、口ごもっていると……

「えぇ。
お付き合いしてた期間は、あまり長くはありません。
あの頃…私達若かったから、とっかえひっかえみたいなところがあって……
…………まぁ、きっと…姫様にはお分かりにならないと思いますが(笑)」

澪雨が、少し嫌みを込めて言い放った。
< 19 / 99 >

この作品をシェア

pagetop