主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「━━━━あの日。
紅葉様は“甲斐だから”と言って、受け入れてくれた。
プロポーズも“甲斐だから、結婚したい”
セックスも“甲斐だから、抱かれたい”と。
あの時の紅葉様は……身体が震えて、涙まで溜まっていた。
それでも“幸せ”だとおっしゃってくれた!
そんな紅葉様のことです。
“苦しいから”
そんな理由で、好きでもない男性に身体を開くとは思えません」

「そうかな?」

「はい。
紅葉様は純粋で真っ直ぐな分、嘘がつけない。
自分にも、他人にも。
そうゆうところも、大好きです!」
微笑み言う、雲英。

「……/////」

「ん?紅葉様?」

「私も/////」

「え?」

「大好き…////」

「紅葉様////」

「甲斐の全部が大好き////
優しくて、穏やかで、賢くて、強くて、でも…時々可愛い甲斐が大好き!」

「フフ…はい!
………さぁ、紅葉様。寝ましょ?
明日は、デートしましょうね!」

「うん!おやすみ、旦那様!」

「おやすみなさい、花嫁様!」


ゆっくり目を瞑った紅葉。
優しく頭を撫でていると、次第にスースーと寝息が聞こえてきた。

雲英は、とても幸せな気持ちでその寝顔を見つめていた。

安心しきった紅葉の表情。

良い夢でも見ているのだろうか?
幸せそうに、微笑んでいる。



『━━━━紅葉様、大学卒業したら……
僕の花嫁様になってください……!』

『………/////甲斐…/////』

『紅葉様、僕に“権利”をください』

『え?け、権利?』

『僕の傍にいてもらう権利。
僕に守られる権利。
僕に全てを委ねていていただく権利です。
僕は……紅葉様に関して、欲張りな人間です。
今まで通り、貴女のお世話もしたい。
その上で貴女にキスをしたり、触れたり、独り占めしたい。
どうか……僕に、貴女の“全てを”ください。
僕の全てを、捧げさせてください。
僕に“幸せ”をください』


いくらなんでも、束縛し過ぎだよな………


しかしそんな雲英の、支配欲の塊みたいなプロポーズを、紅葉は『はい!』と嬉しそうに受け入れてくれた。


どうしても、愛しくて暴走してしまう俺。

それを“可愛い”と言って、受け入れてくれる。


だからこそ俺も、全てを紅葉様に捧げたい。



「紅葉様、これからもよろしくお願いいたします………!」

雲英は紅葉に啄むキスを何度か繰り返し、抱き締めて眠りについた。
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