主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
花嫁様に甘えてみた
「━━━━紅葉さん!」

「はい!」

「来月からの浴衣特集、アシスタントお願いしたいんだけど………
手、あいてるよね?」

「はい!大丈夫です!」

「良かったぁ。
シキガミくんには、男性の浴衣をお願いしてるの。
私は、女性の浴衣の方をするから!
大変だけど……私とシキガミくん、二人のアシスタントをお願い!」

「わかりました!」

「紅葉、頑張ろうな!」
神が、肩をポンと叩いて微笑んだ。

美容関係の会社でもある、空神コーポレーション。
紅葉達は今年の夏に向けて、浴衣に注目していた。

浴衣に合うメイクやアクセサリー、小物など……
コーディネートして、売り出すのだ。

紅葉は、神や社員の雑用を手伝っていた。



「━━━━へぇー、そうなんですね!
忙しくなりますね!」

自宅マンションで、雲英の作ったパスタを食べながら、あったことを話す紅葉。

紅葉の話を相づちをうちながら聞き、微笑む雲英。

二人の夕食は、いつもこんな感じだ。
紅葉がその日あったことを話し、雲英が微笑みながら聞く。

「でも、紅葉様。
無理はされないようにしてくださいね!」



夕食が済み、紅葉は部屋に向かう。
「甲斐、少しお仕事するから!」と━━━━━

「あ……は、はい」

仕事なんかしないで、傍にいてほしい。
…………何て言えない。
俺のワガママを、押しつけてはいけない。

雲英は思いをグッと我慢し、ダイニングを出ていく紅葉を見送った。


しかし、雲英は何度も紅葉が作業中の部屋に向かった。
「紅葉様、紅茶はいかがですか?」

「空調は大丈夫でしょうか?」

「小腹すきませんか?」

「何か、お手伝いすることないでしょうか?」

こんなしつこい雲英に、紅葉は機嫌を悪くすることなく穏やかに言う。

「大丈夫よ!ありがとう!」と━━━━━━


基本的に、紅葉は“怒る”ということがない。
声を荒らげることもない。

いつも穏やかで、真っ直ぐだ。


「紅葉様」

「ん?」

「邪魔は致しません。
僕も、このお部屋にいてもいいですか?」

「………」

「あの…紅葉様?」
キョトンとしている紅葉に、窺うように声をかける。


「どうしたの?甲斐」
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