主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「紅葉と雲英は、昔から本当に“似ている”な」

「え?」

「互いに想い合い、互いのために自分を犠牲にし、互いの幸せを誰よりも願っている」

「そうかな?」

「あぁ。
我娘ながら、本当に立派だ……!」

「フフ…」

「急だったから、パーティー会場での披露宴だけだ。
そこまで、俺がエスコートする」

そう言って、腕を出す父親。
紅葉は微笑み、父親の腕に手を絡めた。


会場前の扉に、従業員が待っていた。
「皆様、お待ちかねですよ!」

「はい」

「では、開けますね!」
インカムで確認を取り、従業員が扉を開けた。

亞嵐達が拍手をして、紅葉と父親に注目する。

「綺麗…/////紅葉」
「ヤバいな、この美しさは////」

亞嵐達が見惚れ、感心したように見入っている。


そして━━━━━

そんな中で、雲英が一番見惚れていた。
「これは、美しい………//////」

ここで、父親が従業員からマイクを受けとる。
そしてみんなに向かって言った。

「皆様。
本日は我娘のために、忙しい中誠にありがとうございます!
本当なら、私が雲英の元まで紅葉をエスコートするんだが………
紅葉には“自分の力で”雲英の所へ行ってほしいと思っている。
過保護に育ててきたから、紅葉は守られてばかりだからな(笑)
だからこそ…………
紅葉、一人で雲英の元へ行きなさい………!」

「はい!」

紅葉は、ゆっくり雲英のいる所まで歩いていく。


ゆっくり歩きながら、紅葉は色んな思いにふけっていた。
物心ついた時から雲英がいて、守られて生きてきた。

雲英に“一人の女性として”見てほしくて、必死に背伸びしてきた。

雲英に告白され、恋人同士になり、プロポーズされ、まだ一年に満たない結婚生活の中、色んなことがあった。

悲しいこと、苦しいこと……でもその分、楽しいことや嬉しいことも沢山あった。

これからも雲英と共に、色んなことを乗り越えていきたい。


「━━━━紅葉様/////」

雲英が、両手を広げて待っていた。
紅葉は、その大きくて温かい胸に飛び込んだ。

「雲英!!」

「とても綺麗です!!
惚れ直しました!」

「ありがとう!雲英も、とっても素敵!!/////」

二人は、微笑み合った。
< 97 / 99 >

この作品をシェア

pagetop