主従夫婦~僕の愛する花嫁様~
「雲英、皆様。
本日は、本当にありがとうございました!!
今日のこと、絶対に忘れません!」

瞳を潤ませ、紅葉は皆に礼を言う。

「僕の方こそ、紅葉様のお気持ちをもっと早く気づいていれば………」

「ううん!いいの!
雲英。私、とっても幸せ!!
こんな素敵な方々に囲まれて、こんな素敵な式を開いていただけて!」


「紅葉ー、雲英さん!
誓いのキスしてよ~!」
「そうね!
紅葉、羊さん!」

「え…/////」

「そうですね!
…………紅葉様」

「う、うん/////」

雲英が紅葉の顔を包み込む。
ゆっくり、紅葉が目を瞑った。

二人の口唇が重なる。

チュッとリップ音がして、離れた。
「フフ…」
「……/////」

「紅葉様、もう一回!」

「へ?////
…………もう…無理ぃ…/////」

また、重なる。
今度は、深くなる。

「んんっ…////雲英…待っ…/////」

「ん…紅葉様…////もっと……」

雲英のスイッチが入っていた。

「ちょっ…/////」

「もっと……もっとして?紅葉様…もっと……」

「ちょっ…やめ……雲英!!!」

「はっ!!?
はい!!」

「もう!せっかくの式なのよ!!」

「も、申し訳ありません!!」
頭を下げる、雲英。

「………」

「どうか、お許しを……!!」

「……フッ…フフフ……」
頭の上から、紅葉の笑い声が聞こえてくる。

「え?」

「フフ…」

会場内が、笑いに包まれていた。
雲英も、つられるように笑った。


それからみんなで料理に舌鼓をうちながら、穏やかに時間が過ぎていく━━━━━


そこに、この穏やかな空間を引き裂くように扉がガン!!と開いた。



「ちょっと!!お客様!!
ここは、只今披露宴中━━━━━」

「私も、こちらの身内よ!!」


そこに立っていたのは、紅葉の叔母にあたる人物で、空神コーポレーションの専務でもある、空神 寿子(ひさこ)だった。


「寿子!何故!?」

「兄さん、これは何なの!?」

「は?見ての通り、紅葉と雲英の結婚の祝いの席だ」

「どうして、私は呼ばれてないの!?」

「お前は“心から”祝う気持ちがないだろ?」

「あるわ!!
紅葉の幸せを私も願って━━━━━」

「違う!!
紅葉と“雲英”だ!」

「雲英?
雲英は、空神の人間じゃないわ!
甲斐一族でしょ!?」

寿子が、雲英を睨み付けていた。
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