悪役令嬢はクールな魔道師に弟子入り致します
私はとりあえず、王太子様へ正式な礼をした。
初めてなのに出来た。すごい私。
「王太子様。ご機嫌いかがですか?」
しっかり彼の目を見て話す。臆するところはないわ。
「ああ。リリアーナ。さすがだな。こんなふうにされてもその負けん気は相変わらずのようだ。お前とは婚約したくなかった。婚約は父王とスツール伯爵との密約で決まったことだが、どうやら君の父上スツール伯爵の不正が見つかったようだ。君には悪いが、ここで正式に婚約破棄させてもらうよ」
「……そうですか。わかりました。どうぞ、メラニーとお幸せに」
私は何事もなかったかのように、返事をした。
「……ひとつお願いがあるのですが」
「なんだ?」
「修道院ではなく、魔導師ギルドへ送っていただけませんか?」
「なんだと?魔導師ギルド?あそこは男ばかりだぞ。お前のようなものが行けばすぐに餌食になるだけだ」
「いえ。出来るならば、上級魔導師セシル様へ最初お預けいただけませんでしょうか」
王太子は探るような眼でこちらを見た。
「何故だ?」
「セシル様は新しい魔術を試すのに人が足りないと良く我が家で愚痴を漏らしておられました。私は医術を少し学んでおりましたのでお役に立てることもあるかと思うのです。修道院よりも魔道のお手伝いをしたほうが、王家の役にも立つかと思います」
オスカー王太子はじっと考えている。
すると、後ろから黒いフードを被ったセシルが急に現れた。
「セシル、脅かすな」
「……王太子様。彼女の申し出ありがたく、出来るならば私に彼女をお預け下さい」
低い声で眼だけぎょろっと光らせてセシルが呟いた。
初めてなのに出来た。すごい私。
「王太子様。ご機嫌いかがですか?」
しっかり彼の目を見て話す。臆するところはないわ。
「ああ。リリアーナ。さすがだな。こんなふうにされてもその負けん気は相変わらずのようだ。お前とは婚約したくなかった。婚約は父王とスツール伯爵との密約で決まったことだが、どうやら君の父上スツール伯爵の不正が見つかったようだ。君には悪いが、ここで正式に婚約破棄させてもらうよ」
「……そうですか。わかりました。どうぞ、メラニーとお幸せに」
私は何事もなかったかのように、返事をした。
「……ひとつお願いがあるのですが」
「なんだ?」
「修道院ではなく、魔導師ギルドへ送っていただけませんか?」
「なんだと?魔導師ギルド?あそこは男ばかりだぞ。お前のようなものが行けばすぐに餌食になるだけだ」
「いえ。出来るならば、上級魔導師セシル様へ最初お預けいただけませんでしょうか」
王太子は探るような眼でこちらを見た。
「何故だ?」
「セシル様は新しい魔術を試すのに人が足りないと良く我が家で愚痴を漏らしておられました。私は医術を少し学んでおりましたのでお役に立てることもあるかと思うのです。修道院よりも魔道のお手伝いをしたほうが、王家の役にも立つかと思います」
オスカー王太子はじっと考えている。
すると、後ろから黒いフードを被ったセシルが急に現れた。
「セシル、脅かすな」
「……王太子様。彼女の申し出ありがたく、出来るならば私に彼女をお預け下さい」
低い声で眼だけぎょろっと光らせてセシルが呟いた。