悪役令嬢はクールな魔道師に弟子入り致します
 「お前の考えていることが荒唐無稽過ぎてよくわからん。何なんだ、そのアツシだの現代だのデートだのっていうのが……」

 困ったような顔をして見せた。

 ああ、私。そうね、最初から説明したほうがいいかもしれない。

 かいつまんで、どうしてここにいるかを想像の限りでセシルに話した。

 セシルはじっと黙って聞いている。

 「……でね、とにかく元の世界に戻りたいの。おそらく、何でか知らないけど、リリアーナと交換になってるんじゃないかと思うんだよね。リリアーナも高熱出して一回意識失っているらしいの。もちろん死んでないから私がいるわけで、あっちも同じだと思うんだよね」

 「……どうして、それで俺の所へ来たいと言ったんだ?」

 「この世界でそういった奇想天外な術が使えるのはセシルしかいないわけ。だから、セシルに頼るしかないし、セシルが知らないなら知っていそうな人を紹介してほしいの。ダメなら、一緒に研究してもいい。私これでも勉強は得意。薬学科だったし」

 「……薬学?本当か?」

 「ええ。すごいでしょ」

 「何がすごいのか全くわからん」

 「えー?セシルってさ、何か杖みたいなの使って炎出したりしてたよね」

 セシルは眉間にしわを寄せて、低い声で言った。

 「お前、それどこで見たんだ」

 「あ、えっと、現代でゲームの第二章でやってたよ」

 「……何言ってんだ?何か、その現代って言う話は言葉が違うのか?よくわからん単語が多いな」

 うーん。説明したところで理解してもらえないと思う。二次元だもん。

 「と、とにかく見たことがあったのよ。すごいよねー、後は色々他にも出来るんでしょ?さっきみたいに空間移動とか……」

 「そんなに出来ない」
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