悪役令嬢はクールな魔道師に弟子入り致します
 「それより、質問に答えろ」

 私は、怖い顔をしているセシルを見ると、ため息をついた。
 
 「とにかく、ちょっとなんか飲み物ない?喉渇いちゃった。緊張してたし。色々しゃべったからさ……」

 セシルはしょうがないなといいながら、コップを手に乗せて何か呟いた。

 すると、いつの間にか、コップに緑色の飲み物が入っている。

 無造作に、目の前にそのコップを出された。

 「な、何これ?まさか、葉っぱのジュース?」

 「馬鹿か。疲れているようだから滋養も付く飲み物だ」

 「え?何その怪しげな感じ……」

 こわごわもらって、匂いをかぐ。
 特に、変な匂いはない。

 じっと見て、思いきって一口飲む。

 驚いた。なんというか、爽やかな飲み心地。
 レモングラスのような香りとスイカのジュースのような清涼感。どうしてこの色なのかな?

 ごくごく飲んでいたら、セシルが言った。

 「薬草とハーブ、それに滋養強壮のカエルの肝などが入っている」

 私は驚いて、吹き出した。
 セシルは大笑いしている。

 「嘘だよ。薬草とハーブで出来ている。レモングラスの香りがしたのは正解だ」

 え?私、感想を口にしてないのに、どうしてわかるの?

 「あ、悪いな。つい癖で、心を読んでしまった」

 「それなら、私が考えていることも分かってるくせに」
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