失恋タッグ
しかし、私にも同じ部署の先輩としての面目がある。

「私は朝比奈君が話があるというから着いてきたんだけど。
話がないのなら食べたら帰るわ。」

若干、私の方が大人げないような気もするが、なんだか彼のペースに飲まれるのが嫌で高飛車に言った。

さすがの朝比奈君もそれには困ったように
息を吐く。

「仕方ないですね。
それでは先に話しましょうか。」

手に持ったナイフとフォークを置くと、
おしぼりで無造作に口元を吹いた。


そして、真剣な眼差しを私に向けて口を開いた。


「秋月先輩、僕とタッグを組んで復讐しませんか?」


私は思わず「復讐っ?!」と声を上げてしまった。

思いのほか、大きい声が出て思わず口を押さえて辺りを見回したが、
他の客には聞こえていなかったようでほっと息をついた。

そんな私を見て朝比奈君はククッと堪えるように笑っている。

完全に馬鹿にされているように見えて、私はわざとゴホンっと
咳を一つつくと、ウーロン茶の入ったグラスを手に取り口に含んだ。

「すみません。先輩があまりにも可愛かったもので」

嘲笑する朝比奈くんのその言葉は、なんだか嘘くさい。
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