3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜

__それから、車を走らせて約二十分弱。

会話をしていたらあっという間に目的地へと到着し、オフィス街から少し離れた場所にある白い石レンガの壁で出来たイタリアン料理店の前で立ち止まると、私は外観を観察するため辺りを見渡した。

国道沿いに建っているお店の敷地は結構広く、テラス席が設置された中庭があったり、周囲を色彩豊かなお花で飾られていたり、小さな噴水があったりと、いかにも女性が好きそうな店構えに胸が躍る。

しかも、今は夜間の為、所々にライトアップされている光景がお洒落で落ち着いた雰囲気を醸し出し、私は一目でここが気に入ってしまった。


「こんな素敵な場所があったなんて。瀬名さんのセンスは素晴らしいですね」

結局、最終的には瀬名さんが選んでくれたお店に決まり、それが大正解だったと再認識した私は、尊敬の眼差しで瀬名さんを見上げる。

「そんなことないよ。でも気に入ってくれて良かった」

そう謙虚な姿勢で瀬名さんはやんわりと微笑むと、一歩前へと進み、お店の扉を開けて下さった。

これは職業柄とも言うべきか。私も人のことは言えないけど、その紳士的な振る舞いはまさにホテルマンそのもので、一瞬にして心を奪われてしまう。

そして、瀬名さんが女性のお客様に圧倒的人気な理由がよく分かった瞬間でもあった。



中に入ると、丁度入り口前で立っていた女性店員の方に声を掛けると予約席を案内され、私達は窓際に設置されたテーブル席へと腰掛ける。

内装は白と黒を基調としたモダンな造りで、奥にはバーカウンターのような席もあり、カウンター内の壁一面にはワインラックが設置されていて、何とも大人な雰囲気のある店内に改めて感心してしまう。

人気店なのかほぼ満席状態で、半数以上は女性客が占めていた。

その中での瀬名さんのお姿は一際輝いているようで、周囲の視線をひしひしと感じながらも、私はなるべく気にしないよう彼に集中する。

瀬名さんはトレンチコートを脱ぐと、私の向かいに座り、いよいよ本格的にお食事が始まると思うと、徐々に胸が高鳴っていく。

とりあえず、この心境を何とか悟られないように、私は差し出されたメニューを瀬名さんの前で広げて見せた。
< 108 / 327 >

この作品をシェア

pagetop