3121号室の狼〜孤高な冷徹御曹司の愛に溺れるまで〜



それから月日は流れ、あっという間に年末を迎え、世間は長期休みへと突入する。

しかし、ホテル業には年末年始なんて全く関係なく、しかも観光地の為またもや繁忙期へと突入し、ようやく落ち着いたのは新年を迎え終えて暫く経った頃だった。


とりあえず、楓さんとは電話をしながら一緒に年を越して、その他瀬名さんや百合さん、桜井さんや御子柴マネージャーなどお世話になった方々には新年を迎えてから電話で挨拶をした。

そして、毎年お正月休みには都内の実家に帰っていたけど、今は軽井沢勤務であるのと、あまり両親に触れて欲しくない話なので、帰省は見送り、今年は初めて一人で過ごすこととなった。

けど、あれから軽井沢リゾートホテルの方々とはもうすっかり打ち解けたので、たまに食事に誘われたり、穴場を案内されたりなど、充実した日々を送っているので寂しさはなかった。

ただ一方で、厳しい寒さが徐々に緩和し始めようとする中、段々と楓さんから連絡が来る機会が減ってきて、今までは週に一回くらいだったのが、半月に一回になり、そのうち一月に一回と。気付けばもう暫く彼と会話をしていない。

同じようなタイミングで百合さんとの連絡も途絶えてしまい、もはや向こうの状況が一切分からなくなってしまった。

それでも、百合さんの助言があったのでそれなりの心構えはしていたからそこまでショックは受けなかったけど、今まで会えない分彼の声を聞いて気持ちを維持してたのに、それすらもなくなってしまうと流石に堪える。

でも、ここは信じて待つしかない。
今の私に出来るのはそれぐらいしかないから。

そう思い、私は負の感情に陥らない為に、なるべく楓さんのことは考えないようにして、更に仕事に専念しようと決めたのだった。
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