らんらんたるひとびと。~国内旅編~
 接客経験のない鈴様をどうやって働かせるのだろうと思っていると。
 さすがは店長。
「スズくんは、とりあえず店の前に立って笑ってるだけでいいから」
 と提案した。

 鈴様は接客がわからないので、周りに言われるがまま店頭に立っていた。
 上手く笑えないので仏頂面だけど、効果はてきめんだった。
 何せ、顔だけは良いからね。
 この国を探しても、あんなイケメンはいないというくらいのイケメンなので。
 通りがかりの女性は鈴様を見て、悲鳴をあげてすぐに店に入ってきた。
 開店1時間もしないうちに店内は満席となる。
 お客さんは全員女性だった。
 接客は主にジェイと白雪姫。
 鈴様が店に入ると「ぎゃー!」と女性の悲鳴があがる。
「お兄さん、オーダーお願い」
 40代のご婦人が鈴様に声をかける。
「俺は、接客はしないでいいと言われてる」
 と、スルーする。
 …これは、ヤバいのでは。

 ピアノの前で様子を窺っていたけれど。
 お客さんは鈴様に冷たくされたのにも関わらず「ぎゃー」と悲鳴をあげた。
 丸トレイを片手に、鈴様はうろうろするだけだけど。
 店長は「うんうん」と頷いている。
 よく、お客さん怒らないよなあ…と思いながら。
 私はピアノを弾くことに集中した。

 ジェイと白雪姫がバタバタと走り回って。
 鈴様はのろのろと店内を動いてお客さんとお喋りをして。
 ホムラさんは店の前に立って用心棒を兼ねて、お客さんを席まで誘導して。
 支払いのときにテキパキと動いて。(もんの凄い暗算が早い)

 シナモンは厨房で、一日中。
 飲み物の準備をしていたそうだけれど。
 めちゃくちゃ支度が早くて「神様」とスタッフに言われたらしい。
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