転生アラサー腐女子はモブですから!?
慌てて浴室から出たアイシャは、待ち構えていた侍女総出でマッサージを施され、ピカピカの身体で私室のソファへと座わった。浴室に行く前まではなかった箱が、いくつもテーブルの上に置かれている。
「アイシャ様、こちらはリアム様からのプレゼントでございます」
そばで控えていた侍女から、メッセージカードを受け取り開ける。
『今夜は、船旅最後の仮面舞踏会ですね。私はきっと、地上に舞い降りた小悪魔に魅了されてしまうのでしょう。仮面の下の美しい瞳に恋をした哀れな私の願いを、叶えてはくれないだろうか。舞踏会場でお待ちしております。私の愛しい人』
なななななんて、恥ずかしいメッセージを送ってくるのよぉ。
みるみると熱を持ち始めた頬を冷ますべく、手で顔を仰ぐが、一気に燃え上がった熱が治まる気配はない。
「アイシャ様はリアム様から、とても愛されているのですね。わたくし、長年ウェスト侯爵家に仕えておりますが、リアム様が令嬢にメッセージカード付きのプレゼントをお贈りするのを初めてみました。侍従の話ですと自らプレゼントもお選びになったとか。そちらの箱もぜひ開けてみてください」
侍女に勧められるまま、一番大きな箱のリボンを解き蓋を開ければ、中からコバルトブルーのドレスが出てきた。
「なんて、素敵なドレスなの……」
胸元はシンプルなコバルトブルーの生地だが、腰から足元にかけて、幾重にも重ねられたドレープは、鮮やかな青から深い藍色へと変化するグラデーションが施されている。そして、美しい海を思わせる青色のドレスの表面には、大小様々なスパンコールがキラキラと輝き、贅沢の一言に尽きる。
このドレスを着て歩けば、足元の生地が揺れるたびに、キラキラと輝き、とても綺麗だろう。
アイシャはドレスを胸元に抱き寄せ、その滑らかな生地の感触に、しばし陶然とする。
「アイシャ様、こちらも素敵ですわ」
うっとりとドレスを抱きしめていたアイシャが、侍女の声に振り向けば、ビロードの生地に覆われたジュエリーケースを手渡された。そして、ケースを開ければ、大粒のブルーサファイアのネックレスと、おそろいの涙型のイアリングが入っている。
「さすが、リアム様ですわ。このネックレスとイアリングを身につけるなら胸元はシンプルなデザインのドレスでないと合いませんわ」
「確かに、そうね」
「きっと、アイシャ様がこのドレスを身につけ、着飾った姿を想像して用意なさったのね。リアム様は、今夜の仮面舞踏会でアイシャ様と過ごされることを、乗船前から楽しみにしていらしたんだわ」
侍女の言葉に、ずっと前から、リアムがアイシャのことを想い、準備を重ねてきてくれていたと知り嬉しくなる。
こんな凝った作りのドレス、たった数日で用意出来る代物ではない。何日も、何週間も、何ヶ月も前から準備をしなければ、今回の船旅に間に合わせる事は出来なかっただろう。
「アイシャ様、こちらはリアム様からのプレゼントでございます」
そばで控えていた侍女から、メッセージカードを受け取り開ける。
『今夜は、船旅最後の仮面舞踏会ですね。私はきっと、地上に舞い降りた小悪魔に魅了されてしまうのでしょう。仮面の下の美しい瞳に恋をした哀れな私の願いを、叶えてはくれないだろうか。舞踏会場でお待ちしております。私の愛しい人』
なななななんて、恥ずかしいメッセージを送ってくるのよぉ。
みるみると熱を持ち始めた頬を冷ますべく、手で顔を仰ぐが、一気に燃え上がった熱が治まる気配はない。
「アイシャ様はリアム様から、とても愛されているのですね。わたくし、長年ウェスト侯爵家に仕えておりますが、リアム様が令嬢にメッセージカード付きのプレゼントをお贈りするのを初めてみました。侍従の話ですと自らプレゼントもお選びになったとか。そちらの箱もぜひ開けてみてください」
侍女に勧められるまま、一番大きな箱のリボンを解き蓋を開ければ、中からコバルトブルーのドレスが出てきた。
「なんて、素敵なドレスなの……」
胸元はシンプルなコバルトブルーの生地だが、腰から足元にかけて、幾重にも重ねられたドレープは、鮮やかな青から深い藍色へと変化するグラデーションが施されている。そして、美しい海を思わせる青色のドレスの表面には、大小様々なスパンコールがキラキラと輝き、贅沢の一言に尽きる。
このドレスを着て歩けば、足元の生地が揺れるたびに、キラキラと輝き、とても綺麗だろう。
アイシャはドレスを胸元に抱き寄せ、その滑らかな生地の感触に、しばし陶然とする。
「アイシャ様、こちらも素敵ですわ」
うっとりとドレスを抱きしめていたアイシャが、侍女の声に振り向けば、ビロードの生地に覆われたジュエリーケースを手渡された。そして、ケースを開ければ、大粒のブルーサファイアのネックレスと、おそろいの涙型のイアリングが入っている。
「さすが、リアム様ですわ。このネックレスとイアリングを身につけるなら胸元はシンプルなデザインのドレスでないと合いませんわ」
「確かに、そうね」
「きっと、アイシャ様がこのドレスを身につけ、着飾った姿を想像して用意なさったのね。リアム様は、今夜の仮面舞踏会でアイシャ様と過ごされることを、乗船前から楽しみにしていらしたんだわ」
侍女の言葉に、ずっと前から、リアムがアイシャのことを想い、準備を重ねてきてくれていたと知り嬉しくなる。
こんな凝った作りのドレス、たった数日で用意出来る代物ではない。何日も、何週間も、何ヶ月も前から準備をしなければ、今回の船旅に間に合わせる事は出来なかっただろう。