【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 こぼれそうになった涙をこらえて前を向くと、水色の色彩が目の前を通り過ぎる。
 その水色の色彩を追いかけるように白い花びらが、ひらりひらりと風にながれていく様は、春の雪のように幻想的だ。

 水色で透明な何かは、ゆらゆらと遠くのほうで光りながら、薔薇のアーチを通り抜けていった。
 不思議に思いながら追いかけ、たどり着いたのは、背の高い木々に囲まれ、誰にも見つからなそうな場所だった。

 その場所には、先ほど見た水色のゆらゆら揺れていた何かはいなかった。
 そこに誰もいないことを確認したとたん、私の緑色をした両目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
 そのときだった、一人泣いている私に、落ち着いた優しい響きの声がかけられたのは。

「──どうしたの、お嬢さん」
「……え?」
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