【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

 涙を拭うこともできずに顔を上げてしまった私は、まだまだ子どもだったに違いない。
 だって、今ならきっと、取り繕うことができる。
 泣くなんて淑女らしくないと咎められることを覚悟して見上げたそこには、予想外の優しい笑顔があった。

「あの……。私」

 夜空のように青みを帯びた黒髪、金色の瞳。
 美しいその人は、私よりずっと大人で、とても素敵で、想像していた王子様そのものだった。
 先ほど出会ったばかりの王太子殿下は、威張るばかりで私のことを「好みではない」なんて言う、想像の王子様とは全く違う人だったから、なおさらその王子様が素敵に見えた。

「────ステラ・キラリス伯爵令嬢だね」
「どうして私の名前をご存じなのですか?」

 その言葉を発した瞬間、王太子の婚約者に決まったときに厳しく教えられた、王家の血を継ぐ方々の情報が浮かぶ。
 この年代で、青みを帯びた黒髪に金色の瞳を持った人で、王宮の端にある庭園に来ることができる人なんて一人しかいない。
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