【電子書籍・コミカライズ決定】イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜
「開いた……。えっと、行ってくるわね?」
「奥様の健闘を祈っております」
「ありがとう、頑張るわ」
そろそろ、と気がつかれないように部屋に入ると、執務室の明かりはすでに消えていて真っ暗だった。
前が見えなくて戸惑っていると、淡い赤色の光が足元を照らす。
その光に導かれるように、部屋の中を進んでいくと、奥にもう一つ扉があった。
「ジェラルド様は、この奥で眠っているのね……?」
『ヒヒン……』
『ガウ!!』
「あなたたち……」
こちらの扉には、鍵がかけられていないようだ。
なぜか姿を現した二体の精霊に導かれるように、そっと、扉を開ける。
小さな部屋には淡い赤から紫、そして青色へとカーテンのような光が広がる幻想的な光景が広がっていた。
「ジェラルド様」
「……ステラ」
フラフラと立ち上がって、なぜか私のことを抱きしめてきたジェラルド様の体は熱い。
「あまり私を惑わせないでくれ。……今度は、過去の君か? ……それとも未来の」
ようやく私は、ジェラルド様が一緒に寝るのを拒んだ理由が、私が子どもだから、ということだけではなかったことに気がつく。
「ジェラルド様……」
二体の精霊の加護。そんなものをその身に受けた人は、歴史でも類を見ない。
ジェラルド様は、子ども時代加護を受けたときは、魔力が不安定になったと言っていたのに……。
……それに、寝込むかもしれないと。
「──でも、私は本物がいい」
「……そうですか。それならそばに、いさせてください」