イケオジ王弟殿下との白い結婚〜君を愛するつもりはないと言われましたが、なぜか旦那様は過保護に溺愛してきます〜

精霊の愛し子 ※ジェラルド視点


 ──その出会いは、偶然か、それとも精霊のいたずらか。……やはり精霊のいたずらに違いない。犯人は、私の横にいる。

 先日、兄がようやく即位した。
 王位継承争いに巻き込まれることを望まなかったこともあり、この年になるまで、婚約者も持たずにいた私は、ようやく訪れた自由に少しだけ浮かれていた。

 のんびり過ごすのにちょうどいい、人目につかない王宮の端にある木陰。
 王位継承争いのあとは、恐らく婚約者を決めるため、忙しい日々が訪れるだろう。

 それに加えて、隣国との国境線はきな臭く、この国で一番強い精霊の加護を受けている私は、いつまた戦いに駆り出されるかわからなかった。
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