a Piece of Cake.
まるで今の自分に言われているようで、身が竦んだ。
「でも、聡現くんのこと、まだ好きで、」
「それはあんたの都合だろ」
「そんな言い方……」
「兎に角、もう来ないでくれ」
修羅場だ。
足音がして、曲がり角から人が来る。
その背丈。
左目の下の泣きぼくろ。
見たことがある。
その言い方は正確じゃない。
捜していた人だ。
でも、あの時よりずっと冷たい瞳をしている。
勿論わたしなんて目に入らず、横を通り抜けていく。
足音が遠のいた後、ちらと振り向いてみる。
もう背中も見えなくなっていた。