a Piece of Cake.
ボールペンをノックする。メモに書き込みをして顔を上げた。
「首藤ちゃん、今日同期飲みやるって。行く?」
隣を通りかかった奈緒さんがこちらを見る。
「んーどうしようかな」
「行こうよ。気分転換」
「うん、行く」
「おっけー、砺波ちゃんに伝えとくね」
「ありがとう」
いいよーん、とひらひら手を振って奈緒さんが自分の席へと戻っていく。
掴みどころがないけれど、優しい。わたしがこの会社に入って最初に仲良くなった同期だ。
「同期飲み? 仲良いねえ」
隣の席の上司、松居さんがキーボードを打ちながら笑う。