a Piece of Cake.
「いらっしゃいませ」
爽やかな笑顔を見せたのは辰己さんだった。
「ゆうみ、これって発注かけた?」
電話を片手に店員さんへ静かに話しかけた。店員さんがそれに返答する。辰己さんは笑顔を見せてまた厨房の方へ戻っていった。
ゆうみって言った。
「イリちゃん、今のイケメンが聡現くん?」
「ううん、今のはお兄さんの方……」
「辰己って言うんです。これです」
店員さんが身を乗り出して、ショーケースの上に飾られた雑誌の記事を示す。辰己さんのきらきらとした笑顔が眩しい。
「これ」の言葉に湊ちゃんがくすくすと笑っている。