a Piece of Cake.
わたしはそれどころじゃなかった。
「店員さん、ゆうみさんって言うんですか?」
尋ねると、わたしの分と湊ちゃんの分のケーキを揃えて準備してくれた店員さんがにこりと笑った。
「はい、三輪夕美と申します」
三輪、夕美さん。
彼女じゃなかった。聡現くん、結婚してた。
衝撃にくらくらする。湊ちゃんに伝えたいけれど、今ここではちょっと。
お会計を終えて、ハッと思い出す。
「ミルクレープ、美味しかったです。と、お伝えください」
「あ、聡現にですね」
「はい! あとこれからは店員さんに感想伝えるので」
え? と夕美さんが目をぱちくりさせた。