a Piece of Cake.
わたしたちの会話を聞いたのか、夕美さんがふふと笑う声。
「聡兄が気を遣ってる」
「聡現くん、どれだけ態度良くないの」
「じゃあ私は部屋にいますね」
「夕美さん、レモネード飲まないの?」
「飲み飽きました」
ケーキも、と付け加えて、軽やかに笑った。
流石、パティシエを二人兄に持つだけある。
こちらに背を向けてリビングを出て行く。それを視線だけで見送った。
「あれが、店員さんじゃない夕美さんなんだねえ」
「いつも自由ですよ」
「そう考えると、聡現くんってオンオフないよね。いつも変わらない」
L字ソファーの対角に座った聡現くんを見る。