a Piece of Cake.
お盆休みでファミリー層が多く、イルカショーを楽しみにしている人たちは真ん中の席を埋めていた。最前列か後ろの方は空いている。
「依理須さん、座らないんですか?」
ぱっと横を見ると、既に最前列に座る聡現くん。
「そこ、水すごいかかるよ」
「え、そうなんですか」
きょとんとしている顔にこちらが目を瞬かせてしまう。もしかして、聡現くんって。
「合羽百円でーす。三列目くらいまでは、濡れますので、」
「あ、一枚ください」
近くを通りかかった飼育員さんから合羽を買った聡現くんが、こちらにそれを渡した。